毎週月曜の朝、先週の進捗をSlackとメールから拾い集めて、共有の表に書き写す。そういう作業をしている人は多いと思います。書き写すだけで30分。しかも水曜にはもう古くなっている。
OpenAIが2026年9月29日のDevDayで出した「ChatGPT Space」は、この書き写しをページ側に任せようというものです。ChatGPTの中に、チームで編集できて、つないだツールから勝手に更新される文書を置ける。公式の紹介ページとDevDayの発表を読み比べて、何ができて、どのプランで使えて、共有すると何が見えるのかを整理しました。
ChatGPT Spaceとは
ChatGPTで作ったり、アップロードしたり、共有したりしたページやファイルを置いておく場所です。これまでの「ライブラリ」がSpaceに置き換わりました。
中心になるのが「ページ」。文章、画像、グラフ、動く部品をひとつに並べられる編集可能な文書で、DevDayの発表では「Living Pages」と呼ばれていました。会話をそのままページにしてもいいし、テンプレートから始めてもいい。
チームで使うときは、名前をつけた「チームスペース」を作ってメンバーを入れ、プロジェクトの目標や優先順位をChatGPTに伝えておく。以後はその文脈をChatGPTや、常時動くエージェントのdotsが参照しながら作業する、という流れです。
勝手に更新されるページ
いちばん新しいのはここだと思います。
ページに「何を更新するか」「どの情報源を使うか」「どのくらいの頻度で見に行くか」を指示しておくと、ChatGPTがその通りに書き換える。公式が挙げている例は、Slack・メール・カレンダーから拾ったやることリストが、優先順位の変化に合わせて期日や次の一手まで更新されていく、というものでした。
人がやるのは、戻ってきて何が変わったかを見ることだけ。冒頭の月曜の作業は、たしかにこれで消せそうです。
気になったのは、変わった箇所の確かめ方。ChatGPTが拾い違えたまま表が更新されても、見た目は整っているので気づきにくい。更新前後の差分がどこまで追えるのかは、公開情報からは分かりませんでした。自動で書き換わる文書ほど、AIの答えを検証する手順を決めておく必要があると思っています。
人とAIが同じページを同時に触る
編集権限のある人は、同じページを同時に編集できます。コメントを残し、コメントの中で@ChatGPTや自分のdotに声をかけると、直しや次の作業を頼める。
面白いのは、各自がそれぞれ自分のChatGPTと一緒に作業する点です。ひとつのAIをみんなで共有するのではなく、Aさんは自分のChatGPTに質問し、Bさんは自分のChatGPTに直させる。結果は同じページに反映されます。
dotsはSlackやMicrosoft Teamsからも呼べて、そちらで「計画が変わったからページも直しておいて」と頼めるそうです。
使えるプランは?
| 機能 | 対象プラン | 状況(9月30日時点) |
|---|---|---|
| Space・ページ | Pro、Business、Enterprise | 提供中。作成と編集はウェブとデスクトップ |
| スマホでのページ | 同上 | 閲覧・検索・共有のみ。編集は近日 |
| スライドの共同編集 | Pro、Business、Enterprise | 未提供。数週間のうちに順次(TechCrunch報道) |
| スプレッドシートの共同編集 | 同上 | 近日 |
| チームタスク(定期的な仕事の委任) | Business、Enterprise | 提供中 |
| Meetingsプラグイン | Pro、Business | macOSのデスクトップアプリでベータ |
Plusは対象に入っていません。個人で使うならいちばん安くてもPro 100(月100ドル、約1万5,712円)から。個人向けプランでは、ページの共有メニューからメールで招待する形になります。
スライドは記述が食い違っていました。DevDayの発表文は「Pro、Business、Enterpriseで利用できます」として、PowerPointやGoogleスライドへの書き出しまで説明している。一方でSpaceの紹介ページには「共同編集できるスライドは近日」とある。TechCrunchによると、OpenAIの担当者は「スライドはまだ使えず、数週間のうちに順次提供する」と説明したそうです。発表文の書き方だけ読むと、もう使えるように見えるので注意が要ります。
AIでスライドを作る手順そのものはAIでプレゼン資料を作るに書いています。
共有したら何が見えるのか
導入前にいちばん確かめておきたいところです。公式のよくある質問に、はっきり書かれていました。
ページを共有しても、自分の非公開のチャットや、ChatGPTのメモリが相手に見えることはない。ここまでは安心材料です。
ただ、ページに書かれた内容は、ChatGPTがメモリから引っぱってきた個人的な情報も含めて、アクセスできる人全員に見える。自分が書いた覚えのない一文が、メモリ経由でページに入っている可能性がある、ということです。共有前に中身を読み直すように、と公式も書いています。
ファイルの扱いも決まっています。
- ページにアップロードしたファイルは、そのページの権限に従う
- 別のファイルへのリンクを貼っても、リンク先の権限は変わらない
- リンク先の中身をページに書き写したり要約したりすると、その部分は共有相手に見える
3つめが落とし穴になりそうです。権限のあるGoogle Driveの資料をChatGPTに要約させてページに載せると、元の資料を見られない人にも要約は見えてしまう。自動更新をかけていれば、それが定期的に起きる。
学習への利用は、BusinessとEnterpriseは既定で使われない。個人アカウントは自分の設定がそのまま適用されます。会社のデータを個人のProで扱うかどうかは、AI利用の社内ルールに何を書くかで整理した観点で先に決めておいたほうがいいでしょう。
会議メモもSpaceに入る
同時に発表されたMeetingsプラグインは、会議を録音してメモを作り、Spaceに保存するものです。メモは既定で自分だけのもの。要点や決定事項、次の作業を、これまでの文脈を踏まえてまとめてくれる。チームに共有するかは自分で選びます。
朝会のあとに「決まったことと止まっている課題を計画ページに反映して」と頼む、という使い方が例に挙がっていました。録音して文字にするところまでの注意は議事録をAIで作るとあまり変わらないはずです。録音する前に、参加者に伝えるのを忘れずに。
Notionやドキュメントの代わりになるか
TechCrunchは今回の発表を「ChatGPT版のオフィスソフト」と書いていました。ページ、スライド、表計算がそろえば、たしかにそう見えます。
乗り換えを考えるなら、先に確かめたいのは外への持ち出しです。スライドはPowerPointとGoogleスライドに書式を保ったまま書き出せると発表されていますが、ページを他の形式で書き出せるかは、読んだ資料の範囲では出てきませんでした。AIサービスを乗り換えられるようにしておくで書いたとおり、手元に残せない形式で仕事の記録を積み上げるのは、あとで効いてきます。
自動で最新になる文書は便利です。けれど、誰がいつ何を根拠に書き換えたのかが分かりにくい文書でもある。チームで使い始める前に、そこだけは試しておきたいと思っています。
出典
すべて2026年9月30日に確認したものです。
- ChatGPT Space(OpenAI)
- DevDay 2026 の振り返り(OpenAI・2026年9月29日)
- About ChatGPT Pro tiers(OpenAIヘルプセンター)
- OpenAI takes on Microsoft with the launch of what feels a whole lot like ChatGPT’s own office suite(TechCrunch・2026年9月29日)
為替は1ドル157.12円(2026年9月30日時点)で換算しています。

