MCPとは|AIに外部ツールをつなぐ標準規格を公式仕様から整理

MCPとは何か AIの仕組みと用語

MCPは Model Context Protocol の略で、AIアプリと外部のシステムをつなぐための規格です。公式ドキュメントは、これを「AIアプリにとってのUSB-Cポートのようなもの」と説明しています。

この比喩がよくできているのは、MCPが解決している問題がちょうどそこだからです。

MCPが解決している問題

AIアプリが5種類あって、つなぎたい外部サービスが10種類あるとします。規格がなければ、組み合わせは50通り。全部を個別に実装しなければなりません。

共通の口を1つ決めれば、AIアプリ側は5つ、サービス側は10個、合わせて15個の実装で済みます。USB-Cが機器ごとの独自端子を置き換えたのと同じ話です。

実際に何ができるかというと、AIエージェントがカレンダーやNotionを読む、Figmaのデザインからコードを起こす、社内の複数のデータベースに会話で問い合わせる、といったことです。前に紹介したAIがゲームを単独クリアした実験でも、ゲームを操作する経路としてMCPサーバーが使われていました。

MCPは誰のものか

ここは誤解されている部分かもしれません。

MCPを最初に公開したのはAnthropicで、2024年11月25日にオープンソースとして出しました。ただし2025年12月9日、AnthropicはこれをLinux Foundation傘下に新設されたAgentic AI Foundationへ寄贈しています。

この財団を共同で立ち上げたのはAnthropic、Block、そしてOpenAI。さらにGoogle、Microsoft、AWS、Cloudflare、Bloombergが支援に加わっています。競合同士が同じ規格の管理団体に並んでいる格好です。

Anthropicの発表によれば、統治の仕組み自体は変わらず、プロジェクトのメンテナーがコミュニティの意見と透明な意思決定を重視する体制を続けるとのこと。同じ発表の時点で、公開されている稼働中のMCPサーバーは1万を超えていました。

MCPが標準になるまで
MCPが標準になるまで

登場人物は3つ

仕様書は役割を3つに分けています。

役割 やること 例
MCPホスト 複数のクライアントを束ねるAIアプリ本体 Claude Code、VS Code
MCPクライアント サーバー1つと専用の接続を保つ部品 ホストがサーバーごとに1つ作る
MCPサーバー データや機能を提供するプログラム ファイルシステム、Sentry
公式ドキュメントの Architecture overview より

ホストがサーバーにつなぐたびに、クライアントが1つ生まれます。VS Codeが Sentry のサーバーにつなぎ、続けてローカルのファイルサーバーにもつなぐなら、クライアントは2つ。1対1の接続がサーバーの数だけ並ぶ構造です。

なお「サーバー」という言葉は、どこで動いているかとは無関係です。手元のPCで動くものもサーバーと呼びます。

2つの層と、通信の方法

MCPはデータ層とトランスポート層に分かれています。データ層が中身のやりとりを、トランスポート層が運び方を決める。

データ層の中身はJSON-RPC 2.0です。特別なバイナリ形式ではなく、素直なJSONのやりとりで動いています。仕様はステートレスで、各リクエストが必要な情報を自分で全部持ちます。サーバーは前のやりとりを覚えている必要がありません。

運び方は2種類。

トランスポート 使う場面 特徴
stdio 同じマシンの中で動かす 標準入出力を使う。ネットワークを通らないので速い
Streamable HTTP 離れたサーバーにつなぐ HTTP POST。認証はOAuthの利用が推奨されている
ローカルのサーバーは通常1つのクライアントに、リモートのサーバーは多数のクライアントに応じる

サーバーが提供できる3つのもの

仕様は、サーバーが外に出せるものを3種類と定めています。

Tools は実行できる関数です。ファイル操作、API呼び出し、データベースへの問い合わせ。AIが「動作」を起こしたいときに使う口。

Resources は読み取るためのデータです。ファイルの中身、レコード、APIの応答。AIに文脈を渡すためのもの。

Prompts は使い回せるテンプレートです。システムプロンプトや、few-shot の例をまとめておく場所。

クライアントが一覧を取るときは tools/list、実行するときは tools/call を呼びます。一覧は動的に変わってよい設計なので、サーバー側の都合で使える道具が増減しても追随できます。

非推奨になったものがある

古い解説を読むときに注意が要る点です。

クライアント側が提供する機能として、以前は Sampling と Logging がありました。Sampling はサーバーがクライアント経由でモデルに推論を頼む仕組み、Logging はサーバーがログをクライアントに送る仕組みです。

どちらもプロトコルのバージョン 2026-07-28 で非推奨になりました。新しく作るなら、推論はLLM提供元のAPIを直接叩き、ログは stderr か OpenTelemetry に出すよう案内されています。

現役のクライアント側機能は Elicitation です。サーバーが利用者に追加の入力や確認を求めるためのもの。

どこで使えるのか

公式が挙げている対応先は、AIアシスタントでは Claude と ChatGPT、開発ツールでは Visual Studio Code、Cursor、MCPJam など。

一度サーバーを書けば、対応しているクライアントのどこからでも使える。これがMCPを覚える実利です。社内システムを触るサーバーを1つ用意すれば、エンジニアはVS Codeから、営業はチャットアプリから、同じ機能を呼べるようになります。

出典

2026年9月9日に確認しました。仕組みと用語は modelcontextprotocol.io が公開している公式ドキュメント(プロトコルバージョン 2026-07-28)の記述に基づきます。寄贈の経緯と稼働サーバー数はAnthropicの発表によるものです。

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