AIとアクセシビリティ|読み書きの負担を下げる使い方

届く形にする 社内での導入と運用

音声の文字起こし、画像の説明文、平易な言い換え。

これまで手間がかかっていた配慮が、実行しやすくなりました。使える範囲と注意点を整理します。

画像の説明文

ウェブページの画像には、代替テキストを付けることになっています。

画面を読み上げる機能を使う人に、そこに何があるかを伝えるためのものです。付いていない画像は、その人にとって存在しないのと同じになる。

これが実際には付いていないことが多い。理由は単純で、面倒だからです。1ページに10枚あれば、10回書く必要がある。

画像を渡して説明文を作らせると、この手間が消えます。出てきた文を見て、要らない部分を削るだけで済む。

書かせるときのコツ

そのまま使うと、説明が長すぎることが多い。

代替テキストは、読み上げられる文です。長いと聞くのが苦痛になります。「40字以内で、この画像が何を伝えているかだけ」と指定したい。

装飾のための画像には、説明を付けないほうがよい場合もあります。意味のない画像まで読み上げられると、かえって邪魔になる。

図表は例外です。グラフや表の画像には、読み取れる内容を本文にも書いておきたい。数字は説明文に収まりません。

文字起こしと字幕

音声を文字にする精度は、実用の水準に達しています。

会議の記録、動画の字幕、電話の内容。日本語でも十分に使える精度が出るようになりました。

ただし固有名詞は外れます。社名、人名、業界の用語。あらかじめ用語の一覧を渡せる仕組みなら、渡しておくと精度が上がる。

公開する字幕なら、必ず人が確認します。間違った字幕は、無いよりたちが悪いことがある。

会議での使い方

その場で文字にする使い方は、参加のしかたを変えます。

聞こえにくい人が、発言を目で追える。日本語が母語でない参加者が、聞き取れなかった部分を戻って読める。誰かの配慮ではなく、標準の設定として入れておく形にしたい。

録音や文字起こしを使うときは、参加者に伝えるのが前提です。黙って取ると、発言そのものが慎重になります。

やさしい日本語に直す

直すところ やり方
一文の長さ 短く区切る
漢語 和語に置き換える
二重否定 肯定の形に直す
敬語の重なり ひとつに減らす
専門用語 言い換えるか、説明を足す
読み手の範囲が広い文書ほど効く

行政の案内文や、社内の規程で効きます。日本語を母語としない人、読むことに負担がある人、急いでいる人。全員にとって読みやすくなる。

既存の資料を作り直す

これまで溜まった資料を直す作業は、手が回らない領域でした。

画像だけで作られた案内、表として組まれていない数字の羅列、読み上げに向かない見出しの付け方。1枚ずつ直すには量が多すぎる。

機械にかけて、直すべき箇所を先に洗い出す。全部を直せなくても、閲覧の多いページから順に手を入れられます。優先順位が付けられるだけで、話が進む。

この作業は一度で終わりません。作った資料が増えるたびに発生するので、作る側の手順に組み込むほうが結局は早い。

読み上げの確認

画面を読み上げる機能は、多くの端末に最初から入っています。

自分の作ったページを一度読み上げさせてみると、分かることが多い。見出しの階層が飛んでいる、リンクの文言が「こちら」ばかりで行き先が分からない、といった問題が耳で分かります。

費用はかかりません。手元の端末で設定を切り替えるだけで、数分あれば試せます。

代わりにはならない部分

配慮を自動化しても、当事者に聞く工程は残ります。

何が使いにくいかは、使っている人にしか分かりません。生成された説明文が実際に役に立つかどうかも、読み上げて確かめる必要がある。

道具が増えたぶん、確認に時間を使えるようになったと考えたい。工程が減ったわけではなく、時間の配分が変わっただけです。

やらない言い訳が減ったことのほうが大きいかもしれません。手間を理由にできなくなったからです。

書く側の負担も下がる

配慮される側だけの話ではありません。

文章を書くことに負担がある人にとって、口で話した内容を文にしてもらえる仕組みは大きい。手が使いにくい人にとっても同じです。

この方向の使い方は、まだ社内で認められていない場合があります。「自分で書いていない」と見られるからです。何を助けとして認めるかは、そろそろ決めておきたい論点になっています。

眼鏡を使って読むことを誰も咎めないのと、どこが違うのか。この問いに答えられる基準になっているかを、一度確かめておきたいところです。

出典

代替テキストの位置づけは下記に基づきます。

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