AIで顧客対応をする|チャットボットを置く前に決めること

問い合わせに答える 社内での導入と運用

問い合わせ対応は、効果が出やすい領域です。

ただし置き方を間違えると、かえって電話が増える。導入前に決めておくことを見ます。

全面に置かない

いきなり顧客と直接やりとりさせる形は、危うい。

返答は自然でも、事実が正しいとは限りません。存在しない機能を案内する、保証していない条件を約束する。こうした回答は、後から「言った」「言わない」の話になります。

まず内側から使うのが現実的です。担当者が答えを作るときの補助にして、顧客に届く前に人が見る。効果の大半は、この段階でも出ます。

置き方の3段階

段階 形 リスク
1 担当者が下書きに使う 低い
2 回答案を出し、人が承認して送る 中くらい
3 顧客と直接やりとりする 高い
1から順に上げる。飛ばすと事故が起きる

3段階目に進むなら、範囲を絞ります。営業時間や配送状況のような、間違えても取り返しがつく内容だけ。契約や料金の話は人が受ける。

何を参照させるか

学習させるのではなく、資料を検索して渡す形にします。

学習だと、出典を示せません。顧客対応では「どこにそう書いてあるか」を示せることが要る。検索して渡す形なら、根拠のページを一緒に出せます。

渡す資料は絞ったほうがよい。社内の全文書を入れると、古い規程や未公開の情報まで拾います。公開してよい資料だけを対象にする。

更新の担当も決めておきたい。資料が古いまま放置されると、間違いを自動で配ることになります。

答えさせないことを決める

先に決めておくのは、できることよりできないことです。

解約、返金、クレーム、健康や安全に関わる相談。これらは人に回す。「その件はお答えできないので、担当者におつなぎします」と返す設計にしておきます。

判断が曖昧なときも、無理に答えさせない。分からないなら分からないと言わせるほうが、間違った案内より被害が小さい。

AIだと明かすか

顧客と直接やりとりさせるなら、明かす前提で考えたい。

人間だと思って話していた相手が機械だったと後から分かると、対応の中身にかかわらず不信が残ります。隠す利点より、露見したときの損のほうが大きい。

明かしたうえで「込み入った話は担当者が対応します」と添えれば、期待値も揃います。過剰な質問が減り、結果として精度の高い範囲に集中できる。

海外に顧客がいる場合、開示を求める規制がある地域もあります。展開先の要件は先に確かめておきたい。

人に渡す導線を先に作る

いちばん不満が出るのがここです。

聞きたいことに答えてもらえず、人にもつながらない。この状態が続くと、顧客は電話に切り替えます。削ったはずの対応が別の窓口に移るだけです。

何度かやりとりして解決しなければ、自動で人に切り替わる仕組みにしておく。そこまでの会話も引き継げば、顧客が同じ説明を繰り返さずに済みます。

悪用される前提で作る

公開された窓口は、意図しない使われ方をします。

指示を書き込んで設定を上書きしようとする手口が知られています。参照している資料を全部出させる、制限を外させる、といった試みです。

入力を検査する、出せる情報の範囲を仕組みの側で制限する、外部への操作は渡さない。この3つは最低限の備えになります。

言葉づかいを決める

既定のままだと、その会社の口調になりません。

実際に評価の高かった対応を数件渡して、そこに寄せる。謝罪の言い回し、断るときの表現、専門用語をどこまで使うか。会社ごとに正解が違う部分です。

避けたい表現も並べておきたい。「〜かと存じます」を多用しない、断定を避けすぎない。書いておくだけで揃います。

記録を残す

やりとりの保存期間と、誰が見られるかを先に決めます。

顧客対応の記録には、氏名や契約内容が入ります。何かあったときに遡れる必要がある一方、無期限に持つ理由もない。

保存する旨を、窓口のどこかに書いておくこと。後から知られるほうが問題になります。

効果の測り方

回答数を見ても意味がありません。

見るべきは、人に回った割合と、解決までにかかった時間です。回答数が増えても人への転送が減っていなければ、負荷は変わっていない。

答えられなかった質問の一覧も残しておきたい。そこが資料の穴です。埋めていけば、対応できる範囲が広がります。

顧客の満足度も落とさずに見たい。速く処理できても、納得されていなければ意味がない。件数だけを追うと、この面が見えなくなります。

出典

窓口を公開するときのリスクは下記に基づきます。

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