アカウントは作った。画面も開いた。ところが何を聞けばよいか分からない。
この段階で止まる人は多いはずです。7日間の順番を置いてみます。
1日目:自分が今日やる作業をひとつ渡す
練習用の質問はしないほうがよい。「AIとは何ですか」と聞いても、何も分かりません。
その日に実際にやる作業をひとつ持ってきます。メールの返信でも、資料の要約でも構わない。うまくいかなくても、自分の仕事で試したという感触が残ります。
2日目:同じことを違う頼み方で試す
昨日と同じ作業を、指示を変えてもう一度やらせます。
目的を書き足す。相手を指定する。字数を決める。出力の形を指定する。何を足すと結果が変わるかが、この日で分かります。
変わらなかった指示は、覚えなくてよい指示です。
3日目:わざと間違えさせる
自分がよく知っている分野について聞いてみます。
細かい数字、あまり有名でない固有名詞、出典の名前。このあたりを聞くと、もっともらしい嘘が返ってくることがある。
これを早い段階で経験しておくのが大事です。仕組みから来る性質であって不具合ではない、と知っていれば、後で本番のときに驚かずに済みます。
4日目:長い資料を渡す
手元にある長めの資料を貼って、要約させます。
そのうえで、資料の真ん中あたりにしか書かれていない事実をひとつ選んで聞いてみる。答えられなければ、その長さは扱いきれていません。
どのくらいの量まで渡せるかの感覚が、ここで掴めます。
5日目:文体を指定してみる
同じ内容を、硬い文体と柔らかい文体で書き分けさせます。
言葉で説明するより、自分が過去に書いた文章を1本見せるほうが早い。この比較を一度やっておくと、以降の指示が短くなります。
6日目:うまくいった指示を保存する
5日分のやりとりを振り返り、結果がよかった指示をメモに残します。
毎回ゼロから書いていると、面倒になって使わなくなる。貼るだけの状態にしておくと、着手までの時間がほぼゼロになります。
7日目:向かない作業を決める
1週間で、うまくいかなかった作業も見えているはずです。
その理由を考えます。確認に手間がかかりすぎたのか。渡す材料が足りなかったのか。そもそも判断が必要な作業だったのか。
向かない作業を決めておくと、無駄な試行が減ります。全部に使おうとしないほうが、結果的に長く使えます。
最初に入れてはいけないもの
試す前に、ひとつだけ決めておくことがあります。何を入力しないか。
顧客の個人情報、取引先から預かった資料、未公開の数字。この3つは、最初から線の向こう側に置いておく。
入力したデータの扱いは、サービスとプランによって違います。学習に使われるかどうかも規約次第。会社で使うなら、個人のアカウントで社内の資料を扱っている状態が規約上どうなのかも確かめておいたほうがよいでしょう。
試す段階で気が緩みやすいところです。
つまずきやすい場面
1週間のあいだに、おそらく2回はがっかりします。
1回目は、期待した答えが返ってこないとき。たいていは材料が足りていません。何を知っていてほしいのかを書き足すと変わります。
2回目は、嘘に気づいたとき。ここで「使えない」と結論を出す人が多い。ただ、これは3日目に意図的に経験しておく想定です。先に知っていれば、驚きになりません。
どちらも仕組みから来るもので、道具を変えても付いてきます。
この1週間で掴めること
機能を網羅する必要はありません。掴んでほしいのは3つです。
材料を渡すと結果が変わること。事実を聞くときは確かめる必要があること。そして、向いている作業と向いていない作業があること。
この3つが分かっていれば、あとは使いながら覚えられます。逆に、ここを飛ばして便利な使い方だけを探すと、最初の失敗で離れることになる。
2週目以降
1週間で感触が掴めたら、次はひとつに絞ります。
毎日発生していて、間違いがすぐ分かる作業をひとつ選び、2週間そこだけは必ずAIを通す。うまくいかない日に指示を直せば、次に活きます。
同時にいくつも始めると、どれも中途半端になります。1つが定着してから広げるほうが確実でしょう。
最初の1週間で全部を理解する必要はありません。触った実感があれば十分です。
出典
3日目と4日目で確かめる性質については、下記の論文が背景を示しています。
