海外の取引先とのメール、英語の資料、問い合わせへの返信。英語が壁になっていた仕事の負担は、かなり下がりました。
ただし翻訳させるだけでは足りない場面があります。
翻訳と作文は分ける
日本語で書いたものを訳させるか、最初から英語で書かせるか。この2つは結果が違います。
訳させると、日本語の構造が残ります。前置きが長い、結論が後ろにある、婉曲な言い回しが多い。文法は正しくても、英語の文書としては読みにくくなる。
伝えたい内容を箇条書きで渡して、英語のメールとして書かせるほうが自然になります。日本語の文章を経由しないぶん、構造も英語のものになる。
丁寧さの指定
英語には日本語のような敬語の体系がないので、丁寧さは言葉で指定します。
| 場面 | 指定の例 |
|---|---|
| 初めての相手 | formal で、簡潔に |
| 継続的な取引先 | friendly だが professional に |
| 断りの連絡 | 丁寧だが、曖昧にしない |
| 催促 | 強すぎず、期限を明示する |
日本語のメールをそのまま訳すと、英語としては謝りすぎに見えることがあります。「お忙しいところ恐れ入りますが」を直訳する必要はありません。
受け取った英語を読むとき
要約させるだけでなく、意図を確かめる使い方が効きます。
「この文面は、こちらに何を求めているか」「期限はいつと読み取れるか」「断られているのか、条件付きで受けているのか」。文意の判断を助けてもらう形です。
曖昧な表現も英語にはあります。婉曲な断り方や、社交辞令の言い回し。そこを解説させると、読み違いが減ります。
ただし、原文も必ず自分で読む。要約だけで判断すると、条件や但し書きが落ちていることがあります。
自分の英語を直させる
全部を書かせるより、自分で書いたものを直させるほうが力が付きます。
「文法を直して」だけでなく、「どこをなぜ直したか」も書かせる。同じ間違いを繰り返さなくなります。
「より自然な言い回しがあれば教えて」と添えると、置き換えの候補が出てくる。使うかどうかは自分で決められます。
急ぎでない連絡なら、この形にしておくと数か月で書く速度が変わります。全部任せると、いつまでも自分では書けません。
用語を統一する
継続的にやりとりする相手なら、用語集を作っておくと揺れが減ります。
自社の製品名、サービス名、社内の役職の英語表記。毎回違う訳になると、相手が混乱します。
この一覧を指示に添えて渡す。過去に送ったメールを1通見せるのも効きます。文体と用語の両方が伝わるからです。
確認する箇所
送る前に見るところは、日本語のメールと同じです。
日付と金額。桁と通貨の単位を確かめます。日付の書き方は国によって順序が違うので、月と日が入れ替わっていないかも見る。
相手の名前と会社名の綴り。ここを間違えると印象が悪い。
そして、自分が約束していない内容が入っていないか。丁寧に書こうとして、余計な譲歩が加わることがあります。
会議や通話では
リアルタイムのやりとりでは、事前と事後に使うほうが現実的でしょう。
事前に、話したいことの英語表現を用意しておく。想定される質問と、その答え方も。
事後は、録音から要点を整理させる。聞き取れなかった部分を確かめられます。ただし録音の可否は先に確認が要ります。
英語で指示すべきか
よく聞かれる点ですが、日本語のままで構いません。
同じ内容を伝えるのに日本語は英語の約1.5倍のトークンを使いますが、費用の大半は出力側で発生します。英語で答えさせるなら、指示を英語にしても出力の量は変わらない。
それに、慣れない言語で指示を練る時間のほうが高くつきます。ニュアンスが伝わらずやり直しになれば、節約した分は帳消しです。
相手も同じことをしている
忘れがちですが、海外の相手も同じ道具を使っている可能性があります。
整った英語が返ってきたからといって、相手が英語話者とは限らない。むしろ双方が翻訳を挟んでいることも増えているはずです。
だからこそ、曖昧な言い回しは避けたほうがよい。両側で翻訳を通ると、婉曲な表現は意図が消えやすくなります。期限も金額も、はっきり書くほうが伝わります。
道具が壁を下げたぶん、伝え方の工夫が効くようになったとも言えます。
英語が書けることより、伝えるべきことがはっきりしているかどうか。そちらのほうが結果を左右します。
出典
トークン数は tiktoken の o200k_base で実際に数えたものです。同じ意味の日本語と英語の文を8組用意して測りました。

