AIで資料の下書きを作る|そのまま使えない部分をどう埋めるか

下書きから先の作業 仕事での使い方

提案書や報告書の下書きをAIに作らせると、形は整っています。見出しが並び、体裁も整っている。ところが読むと中身が薄い。

原因と、手を入れるべき箇所ははっきりしています。

薄くなる理由

材料を渡していないからです。

「うちの会社の提案書を作って」と頼めば、AIは一般的な提案書の形を知っているので、それらしいものを組み立てます。ただし中身に入れる事実がない。だから当たり障りのない文が並びます。

しかも空欄を埋める方向に働く性質があるため、事実らしきものが混ざることもある。確信がないときに黙るより推測するほうが有利になる採点で育っている、という構造が背景にあります。

どこを人が埋めるか

部分 担当
構成の骨組み AIでよい
一般的な説明・背景 AIでよい
言い回しの調整 AIでよい
自社の実績・数字 人が渡す
相手固有の事情 人が渡す
判断・結論 人が書く
下の3つを渡さないと、上の3つも活きない

読み手が知りたいのは下の3つです。上の3つは、下を伝えるための器でしかない。

渡す材料の作り方

整った文章にする必要はありません。箇条書きで足ります。

誰に出すのか。何を決めてほしいのか。使える事実は何か。相手が気にしそうなことは何か。この4つを雑に並べて渡すだけで、出力が変わります。

数字と固有名詞は正確に。ここが渡っていないと補われます。逆に言い回しや順序は気にしなくてよい。整えるのがAIの仕事です。

構成だけ先に作らせる

いきなり本文を書かせず、見出しの案だけ出させる手があります。

構成を見て、要らない項目を消し、足りない項目を足す。順番を入れ替える。そこまで固めてから本文を書かせると、後の直しが減ります。

本文まで一気に書かせてから構成を直すと、書き直す量が増える。手戻りの費用も時間も無駄になります。

出てきた文章の直し方

全部を書き直す必要はありません。効く直しは決まっています。

抽象的な形容を具体に置き換える。「大幅な改善」を「処理時間が3時間から40分に」に。この置き換えだけで、資料の説得力が変わります。

主語を明確にする。「〜が求められています」「〜と考えられます」という書き方は、誰の考えか分かりません。自社の主張なら、そう書く。

結論を先に出す。AIは背景から順に説明する構成を好みますが、資料は結論が先のほうが読まれます。

向いている資料、向かない資料

同じ「資料」でも、任せられる度合いが違います。

向いているのは、型があって説明が中心のもの。社内の手順書、サービスの紹介資料、勉強会の説明スライド。世の中に似た資料が大量にあり、書き方の作法が確立しています。

向かないのは、判断を伝えるもの。稟議、投資の提案、方針の説明。何を選び、何を捨てるかを書く資料は、その判断自体が中身なので、AIに出させても意味がありません。

判断は自分で決めてから、その説明の書き方だけを任せる。この分け方なら使えます。

時間の見積もりを変える

「AIで作るから30分」という見積もりは、たいてい外れます。

生成そのものは数分で終わる。時間がかかるのは、材料を用意する作業と、出てきたものを直す作業のほうです。

材料を集める30分、生成5分、確認と修正30分。この形で見ておくと、期待値がずれません。それでも一から書くよりは速い。

短縮できるのは書く作業だけで、考える作業と確かめる作業は残ります。ここを見誤ると、締め切り前に慌てることになります。

機械が書いたと分かる文体

気になるなら、この3点だけ見れば足ります。

太字が多い。日本語のビジネス文書で、そこまで太字は使いません。

文の長さが揃いすぎている。短い言い切りをいくつか混ぜるだけで印象が変わります。

段落の頭が「また」「さらに」「一方で」で始まる。接続詞を消して本題から始められないか試すと、たいてい消せます。

確認する箇所

外に出す前に見るのは3つです。

数字と日付。自分が渡していない数字が入っていないか。社名と人名の表記。そして、書いた覚えのない実績や約束が紛れていないか。

提案書に書いた内容は、後から契約の解釈に影響することがあります。速く作れるようになったぶん、この工程は残しておいたほうが安全でしょう。

提案書は、通ったあとに読み返されます。書いた時点では気にならなかった一文が、後から効いてくることもある。

誰が書いたかにかかわらず、出した文書の責任は出した人にあります。そこは変わりません。

出典

空欄を埋める振る舞いが起きる理由については、下記の論文に基づきます。採点方法が推測を有利にしているという要点は、OpenAI公式の解説記事でも説明されています。

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