AI画像の商用利用|規約のどこを読めばよいか

規約の読みどころ 法務とルール

生成した画像を仕事で使ってよいのか。この問いには2つの層が含まれています。

サービスとの契約の話と、著作権法の話。混同されがちですが、別々に確認するもの。

規約で見る5か所

確認する場所 何を見るか
商用利用の可否 有料プランのみ可、という条件が付くことが多い
権利の帰属 生成物の権利が利用者に来るのか、使う許可だけなのか
独占できるか 他人が似た画像を作っても止められないのが普通
解約後の扱い プランをやめたら過去の生成物を使えなくなる場合がある
表示義務 AIで作ったことの明示や、サービス名の記載を求められることがある
いずれも利用規約の本文に書かれている。紹介記事ではなく原文を読む

4番目が特に見落とされます。制作時は有料プランで作ったが、後で解約した。そのあと納品先で使い続けてよいのか。ここを確かめずに納品すると、後から詰みます。

2番目と3番目も要注意。「商用利用可」と書かれていても、権利が移転するとは限りません。使う許可をもらっているだけで、独占できない場合がある。動画の背景に使う程度なら気にしなくてよい話ですが、ロゴや商品そのものに使うなら決定的な差になります。

著作権が発生するとは限らない

規約とは別に、法律の側にも問題が残っています。

日本の著作権法では、著作物は「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義されています。文化庁の整理によれば、人が何も指示を与えず、あるいは簡単な指示だけで生成ボタンを押しただけのものは、これに当たらないとされています。

つまり著作権で保護されない。誰かが勝手に使っても、著作権を根拠に止められません。

人が道具として使ったと認められれば著作物に当たり、使った人が著作者となる。判断は創作意図の有無と、創作的寄与と認められる行為をしたかどうか。

文化庁が挙げている判断要素のうち、効くのは指示の具体性と、生成後の加筆・修正です。試行回数の多さと、複数から選んだことは、それだけでは影響しないとされています。

既存の作品に似ていないか

もうひとつ、生成物が他人の権利を侵害する可能性という論点も。

生成された画像が既存の著作物と類似しており、それに依拠して作られたと言える場合、通常の著作権侵害になり得ます。学習が適法だったことは、生成物の安全を保証しません。

特定の作家やキャラクターを狙って生成したものは危険度が高い。作風を再現させる目的で指示を組み立てた場合、その意図自体が問われます。

用途によって必要な確認が変わる

同じ生成画像でも、どこに使うかで慎重さの度合いが変わります。

用途 気にする点
SNSの投稿、動画の背景 商用利用の可否だけ確認すれば足りることが多い
広告のクリエイティブ 既存作品との類似。掲載先の審査基準も確認
商品そのもの(グッズ、書籍の表紙) 権利の帰属と独占の可否。著作物性も要る
ロゴ、ブランドの顔 独占できないと成立しない。生成物だけで作るのは危うい
下に行くほど、確認する項目が増える

いちばん下のロゴは、生成画像をそのまま使うのに向きません。他人が似たものを作っても止められない可能性があるうえ、商標として登録できるかも別の問題になります。

たたき台として使い、最終的には人が描き起こす。この形なら、加筆・修正の部分に著作物性が認められる余地も出てきます。

実務での手順

納品や公開の前にやることを並べます。

使ったサービスの規約で、上の5点を確認する。プランの種類も含めて記録に残す。

生成した画像が既存の作品に似ていないかを確認する。画像で検索をかけるだけでも、明らかな類似は見つかります。

指示の内容と、加筆・修正の過程を残しておく。著作物性を主張したい場合の材料になります。

取引先に納品するなら、AIで生成したことを伝えておく。後から発覚するより、先に共有したほうが揉めません。

なお、この記事は公開資料をもとにした一般的な整理です。個別の案件は弁護士に相談してください。

記録に残す形

後から聞かれたときに答えられるよう、最低限を残しておきます。

使ったサービスとプラン、生成した日付、指示の内容、加筆・修正の有無。この4つがあれば、規約の確認にも著作物性の説明にも使えます。

案件が終わってから探すと、どのプランで作ったか分からなくなります。作った時点で残すのが確実でしょう。

案件ごとにフォルダを1つ作り、そこへ入れておくだけで十分です。

出典

著作物の定義と判断要素は、下記に基づきます。規約の内容は各サービスの本文で確認してください。

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