AIで市場や競合を調べる|どこまで信じてよいか

調べものの精度 仕事での使い方

市場規模や競合の状況を聞くと、それらしい数字が返ってきます。

その数字がどこから来たのかを確かめないまま資料に使うと、後で困る。使い方を整理します。

数字は特に危ない

調べものの中で、いちばん扱いを間違えやすいのが数字です。

「国内市場は約3,200億円」といった答えが、根拠なしに出てくることがある。桁も、年度も、調査した主体も、それらしい形で埋まってしまう。

確信がないときに黙るより推測したほうが有利になる構造が、学習と評価の仕組みに組み込まれています。分からないと答えるより、それらしい数を出すほうが点が高くなるからです。

数字を扱うときは、出どころを聞き返すのが最低限の手順になります。

検索機能があっても同じ

その場で検索してから答える機能を持つサービスが増えました。

出どころが示されるぶん確かめやすくなりますが、示されたページに実際にその数字が書いてあるとは限りません。要約の過程で、別のページの数字と混ざることがある。

リンクが付いていると、確かめた気になりやすい。ここが落とし穴です。開いて、その一文を目で見るまでは、確かめたことになりません。

向いている使い方

使い方 向き不向き
調べる観点を洗い出す 向いている
業界用語を教わる 向いている
調査資料の探し方を聞く 向いている
長い資料を要約させる 向いている(原文つきで)
市場規模の数字を出させる 向いていない
競合の最新動向を聞く 向いていない
探す手前の作業に使い、数字は一次資料で取る

観点の洗い出しがいちばん役に立ちます。「この市場を調べるとき、見落とされやすい切り口は」と聞くと、自分では思いつかない角度が出てくる。

数字の取り方

結局、公的な統計と業界団体の資料に戻ることになります。

総務省や経済産業省の統計、業界団体の年次資料、上場企業の有価証券報告書。これらは無料で読めて、出典として書ける形になっています。

「この数字を調べるなら、どの統計を見ればよいか」と聞く。統計の名前を教わって、自分で原典に当たる。この手順なら、間違いが混ざっても検出できます。

有価証券報告書は、競合の状況を知るうえで特に有用です。セグメント別の売上や、リスクの認識が書かれている。

仮説を壊す相手として使う

調べものの本当の失敗は、数字を間違えることより、見たいものだけ見ることです。

自分の仮説を書いて渡し、「これが成り立たないとしたら、どんな条件のときか」と聞く。反対の立場から論を組ませると、確かめるべき点が出てきます。

出てきた反論をそのまま信じる必要はありません。確かめるべき項目の一覧として使えば足ります。

この使い方には、根拠の正確さがあまり関係しない。だから精度の弱点を避けたまま、価値のある部分だけ取り出せます。

要約させるときの形

長い調査資料を読む時間がないとき、要約は有効です。

条件をひとつ足したい。「本文から引用しながら要約して」と指定する。引用があれば、気になった箇所を原文で確かめられます。

要約だけ受け取ると、書かれていなかったことが混ざっても分かりません。引用を求める一手間で、この事故は防げます。

競合の情報

最新の動きは、そもそも学習に入っていません。

数か月前の資金調達や、先月の新製品を知らないのが普通です。知っているように答えてきたら、むしろ疑いたい。

競合の公式サイト、プレスリリース、採用ページ。これらを自分で見て、要約だけ任せる形にすると精度が保てます。採用ページは特に情報量が多い。どの職種を何人募集しているかで、力を入れている領域が読めます。

海外の市場を見るとき

英語で書かれた資料が多い領域では、事情が変わります。

元の資料の量が桁違いに多いぶん、日本語で聞くより精度が上がる傾向があります。統計の名前や、業界の定番資料も出てきやすい。

それでも、数字を取る手順は同じです。資料の名前を教わって、原典に当たる。翻訳は任せてよいところなので、原文を読む負担は思ったほど大きくありません。

資料に書くとき

社内の資料でも、数字には出典を付けます。

調査主体、調査時点、数値の定義。この3つが書いてあれば、後から誰でも検証できる。書けない数字は、資料から外す。

面倒に見えますが、質問されたときの守りになります。「その数字の根拠は」と聞かれて答えられない場面は、避けたい。

出典を書く前提で調べると、調べ方そのものが変わります。書けない情報に時間を使わなくなるからです。

出典

数字が根拠なく出てくる理由は、下記に説明があります。

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